メモリのタイミングとは
メモリのパフォーマンスが話題になると、たいていの人はメモリモジュールの速度を思い浮かべます。モジュールの速度 (DDR2 800MHz、DDR3 1600MHz、DDR4 2400MHzまたはMT/秒など)はデータ転送機能の尺度です。これに対し、タイミングはメモリがアクションの実行要求に応答する速度を定義します。
メモリをレーシングカーに例えるなら、モジュールの速度はエンジンの馬力、タイミングは車のドライバーのようなものです。レーシングコースでドライバーがうまくコーナーを曲がり、障害物に対処するほど走るスピードが速くなります。その腕前が図抜けていれば、馬力の小さい車のドライバー(タイミング)が馬力の大きい車より速いスピードを出し、馬力の小さい車が馬力の大きい車に勝る可能性もあります。
メモリのタイミングは、通常、数値形式で表示され、DDR3メモリのタイミングの一般的な例として9-9-9-24が挙げられます。次の表に、各種のDDRメモリの標準的なタイミングの例を示します。
世代 |
CL |
tRCD |
tRP |
tRAS |
---|---|---|---|---|
DDR2 |
5 |
5 |
5 |
15 |
DDR3 |
9 |
9 |
9 |
24 |
DDR4 |
16 |
16 |
16 |
該当なし |
最も一般的には、タイミングはCAS Latency(CL)、Row Column Delay(tRCD)、Row Precharge Time(tRP)、Row Active Time(tRAS)の4つに分類されます。上の表にDDR4のtRASが抜けていることにお気づきかもしれませんが、この値は新しいメモリテクノロジーで別の番号と統合されているため、該当しなくなっています。
CL |
tRCD |
tRP |
tRAS |
---|---|---|---|
メモリモジュールがメモリコントローラの要求に応じてデータを準備するために要する時間 |
メモリの準備ができた後、メモリの読み取りに要する時間 |
新しい行でデータを使用するためにメモリが準備に要する時間 |
行がアクティブになってデータへのアクセスが可能になるまでに要する最小時間 |
最も一般的に知られているメモリのタイミングはCAS Latencyでしょう。この値は一般にパフォーマンスと同義ですが、時に誤解を招く場合があります。CAS Latencyの値はメモリが新しい情報に迅速に応答する能力を示すものなので、ほとんどの人はこの値が低いほど良いと思っています。この認識には誤りがあり、通常は新しい種類のメモリの方が古い種類のメモリよりCASレイテンシーがはるかに高くなっています。
新しい種類のメモリほどレイテンシーが大きいのはなぜでしょうか。各種のタイミングと共に、Clock Cycle Timeと呼ばれる属性があります。これはメモリが新しいコマンドセットを準備する速さを表す測定値です。DDR4などの新しい種類のメモリはそれ以前のメモリと比べてClock Cycle Timesが格段に速くなっています。下の表に示すように、これは実質的にTrue Latency(実際の速度)がはるかに高速になったことを意味します。速度とレイテンシーの詳細については、こちらの詳しい記事をご覧ください。
テクノロジー |
モジュール速度(MT/s) |
クロックサイクル時間(ns) |
CASレイテンシー(CL) |
真のレイテンシー(ns) |
---|---|---|---|---|
SDR |
10E |
8.00 |
3 |
24.00 |
SDR |
133 |
7.50 |
3 |
22.50 |
DDR |
335 |
6.00 |
2.5 |
15.00 |
DDR |
40B |
5.00 |
3 |
15.00 |
DDR2 |
667 |
3.00 |
5 |
15.00 |
DDR2 |
800 |
2.50 |
6 |
15.00 |
DDR3 |
1333 |
1.50 |
9 |
13.5 |
DDR3 |
160B |
1.25 |
11 |
13.75 |
DDR4 |
1866 |
1.07 |
13 |
13.93 |
DDR4 |
2133 |
0.94 |
15 |
14.06 |
DDR4 |
2400 |
0.83 |
17 |
14.17 |
DDR4 |
2666 |
0.75 |
18 |
13.50 |
多くの場合、メモリについて心配する必要はありません。Crucial® Advisor™ツールまたは System Scannerツールでお使いのコンピューターと互換性があることが確認されたメモリを購入すれば、お使いのシステムを実行できる機能を備えていることが保証されます。この原則の唯一の例外は、自作パソコン向けに高性能Ballistix®を購入する場合です。CPUによっては、対応するメモリの速度とレイテンシーが制限されている場合があるので、高性能メモリと組み合わせる前に必ずCPUが対応する最大メモリ速度を確認することをお勧めします。ご不明な点はCrucialのサポートにお問い合わせください。
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