SDRAM vs DDR:違いは何でしょうか?
メモリすなわちランダムアクセスメモリ(RAM)には様々な種類があります。その違いは、メモリをはじめとするコンピューターハードウェアの機能やテクノロジーによるものです。DDR RAMおよびSDRAMとは何か、両者の違いは何かについて知りたい方はぜひこの記事をご覧ください。SDRAMと様々なDDRの種類について説明しています。
メモリの世代
メモリの規格は、電子デバイス技術合同協議会(JEDEC)によって管理されています。これは半導体技術の業界団体であり、標準化組織です。新世代のメモリが開発される度に、この組織がその規格を管理しています。
メモリは世代ごとに速度と周波数が向上し、消費電力が低減しています。パソコンの各種ハードウェアは全て接続され相互依存性があるため、他のコンポーネントでも速度が向上します。コンピューターハードウェアの詳細はこちらをご覧ください。
SDRAM
シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)は、他のコンピューターコンポーネントの速度の増加に対応して開発されました。パソコンの他のコンポーネントの速度が増加すると、メモリ速度も増加させる必要があります。ダブルデータレート(DDR)が開発されると、以前のテクノロジーはシングルデータレート(SDR)と呼ばれるようになりました。DDRはSDRに比べて高速な上、エネルギーの消費量が抑えられます。DDRメモリは、クロックシグナルの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送します。
SDRAMは、1988年に他のコンピューターコンポーネントの速度の増加に対応して開発されました。以前は、メモリは非同期である必要がありました。つまり、プロセッサーから独立して動作していました。シンクロナスメモリは、メモリモジュールの応答をシステムバスおよびCPUのタイミングに同期させています。
それ自体をCPUと同期させることにより、メモリモジュールがクロックサイクルを正確に把握することができるため、CPUはメモリアクセスの間に待機する必要がありません。SDRAMは1クロックサイクルに1回しか読み込み/書き込みができません。
DDR
DDRは、SDRAMの次の世代のテクノロジーとして2000年に発表されました。前のシングルデータレートメモリに比べてより広い帯域幅と速度を実現しています。DDRはクロックシグナルの立ち上がりと立ち下がりの両方、つまり1サイクルに2回データを転送します。クロック信号は、ダウンビートとアップビートの両方で構成されています。データ転送に両方のビートを使用するため、ダブルデータレートメモリは、データ転送にクロックシグナルの片方のエッジのみを使用するシングルデータレートメモリに比べ大幅に高速です。
DDRは、1クロックサイクルに2ビットのデータをメモリアレイから内部の入出力バッファに転送します。これは2ビットプレフェッチと呼ばれています。通常、DDRの転送速度は266MT/秒から400MT/秒の範囲です。
ダブルデータレートは、デュアルチャネルメモリとは異なります。デュアルチャネルメモリについては、こちらをご覧ください。
DDR2
2003年に発表されたDDR2は、バス信号の向上により外部データをDDRの2倍の速度で処理することができます。DDR2は、DDRと同じ内部クロック速度で動作しますが、転送速度は、入出力バス信号の向上により高速化しています。DDR2のプリフェッチは4ビットで、DDRの2倍です。DDR2の転送速度は533MT/秒から800MT/秒に達します。
DDR3
2007年、DDR3はDDR2に比較して約40%の消費電力の低減と2倍のプレフェッチデータ8ビットを実現しました。この消費電力低減によって、より低電流、低電圧での動作が可能になりました。DDRは約2.5V、DDR2は平均約1.8Vで動作しますが、DDR3では1.5Vまで低下しています。DDR3の転送速度は800MT/秒から1600MT/秒の範囲です。
DDR4
DDR4は最新世代(2014)のダブルデータレートランダムアクセスメモリです。動作電圧は最低の1.2Vとなり、前世代より高い転送速度を達成しています。DDR4では、バンクグループを導入することにより、望ましくない16ビットのプリフェッチを回避しています。バンクグループ構成では、各バンクが他のバンクから独立して8ビットのデータを処理することができます。これは、DDR4が複数のデータリクエストを1クロックサイクル内で処理できることを意味します。
DDR4の転送速度は現在も上がり続けており、DDR4モジュールの速度は5100MT/秒に達するだけでなく、オーバークロック時にはさらに高速度の達成が可能です。Crucial Ballistix MAXモジュールは2020年にオーバークロックの世界記録を数多く達成しています。
DDR5
DDR5メモリ(2021)は、次世代マルチコアコンピューティングシステムを実現するために、チャネル効率の向上、電源管理の改善、パフォーマンスの最適化に向けた画期的なアーキテクチャーを採用しています。DDR5の起動時の速度は、DDR4の約2倍の帯域幅となっています。また、テスト中だけでなく本稼働条件においてもチャネル効率を損なうことなく、高速でメモリのパフォーマンスをスケーリングできます。Crucial DDR5メモリは、発売時点で標準的なDDR4メモリの1.5倍の速度にあたる4800MT/秒で動作します。
SDRAM |
DDR |
DDR2 |
DDR3 |
DDR4 |
DDR5 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
プリフェッチ |
1 - ビット |
2 - ビット |
4 - ビット |
8 - ビット |
1バンクのビット数 |
16 - ビット |
データレート(M |
100~166 |
266~400 |
533~800 |
1066~1600 |
2133~5100 |
3200~6400 |
転送速度 GB/秒 |
0.8~1.3 |
2.1~3.2 |
4.2~6.4 |
8.5~14.9 |
17~25.6 |
38.4~51.2 |
電圧(V) |
3.3 |
2.5~2.6 |
1.8 |
1.35~1.5 |
1.2 |
1.1 |
メモリには、後方互換性がありません。
業界全体でメモリを標準化する理由の1つは、コンピューターに取り付けられるメモリの電気パラメーターと物理的形状をコンピューターメーカーが知っておく必要があるためです。メモリの各世代によって電気パラメーターが異なるため、メモリの物理的形状を変えて、間違ったメモリがコンピューターに取り付けられないようにしています。したがって、問題はSDRAMとDDRのどちらを選ぶかということではありません。コンピューターは同一の世代のメモリしか使用できないためです。SDRAM世代とDDR世代の間には直接の互換性はありません。システムは適切なRAMがあってはじめて動作します。
お使いのパソコンに適したメモリを判断するために、Crucial® Advisor™ツールやSystem Scannerツールをご利用ください。ご使用中のコンピューターに対応するメモリモジュールを、必要な転送速度と予算に合わせて判別することができます。
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